以前、某百貨店の紳士靴バイヤーさんとお話をさせていただいた時の様子です。
私:「例えば売場で、この靴はエコロジーな素材でできているから燃えるゴミとして廃棄できて、地球環境にやさしいのですよ。と、お客様にご案内することはあるのですか?」
A氏:「それは絶対にありませんね。これから購入するお客様に捨てる時のことまで話をすると夢が無くなってしまいます。」
私:「もしもそのような話がお客様から出てきたらどの様に答えられるのですか?」
A氏:「捨てるよりも、修理して履かれる事をお勧めします。実際に店頭には最低でも5万円からの靴を置いています。そのような靴を好んで履かれるお客様は、修理をしながら何十年も履かれる方が多いのです。」
「つまり、修理でも儲けることができるのです。一足で何度もおいしいのは、お客様も同じことです。」
私:「なるほど!でも国産ブランドで5万円以上する靴ってあまり無いですよね。」
A氏:「国産ではまずブランド力自体がありません。どんなに優秀な熟練工が作ったものでも7〜8万円止まりです。と言うよりも、例えばR社のブランドは国内で知れ渡っていますが、そのブランドの価値は精々3万円台です。その靴を修理してまで履くなら新しい靴が買えますよ」
私:「だから私たち国内タンナーがどんなに上質の革を作っても、国内のブランド向けでは、価格が抑えられてしまうのでしょうか?」
A氏:「それもあるかもしれませんが、とにかく流通・企画・生産背景が国内は目茶苦茶ですよね。靴文化としてのとらえ方をできているメーカーや卸は一軒も無いのではないでしょうか。」
私:「安く作るために中国に持っていってしまうとか?」
A氏:「だから弊社では、仕入れに力を入れてこだわるようにしたのです。廉価品でお客様を呼ぶのは違う世界の話です。」
私にとって最高の勉強になったことは言うまでもありません。
でも、・・・エコはファッション界では不要なのかなぁ?